フランス

2001年3月、4月、5月)

フランスにおける「セクトまたはカルト団体」の活動を抑制する法制度導入に関する展開を、宗教的自由支持者は注視している。

アバウト-ピカード法案として知られる法案は、現行の法律を変更するために調査され、「セクトやカルト的性質をもつ団体」を制限する手段として、昨年6月に国会で採択された。ル・モンド紙によると、この法案は、「社会の秩序を乱す」または「人格の尊厳にとって危険である」宗教団体の犯罪に対して刑事上有罪とすることを目的として草案された。

広範囲の宗教代表者は、この法律の趣旨に関してはおおむね支持しているが、比較的主流派と考えられている団体を含む170の宗教団体をターゲットとする法案については批判している。「精神操作」に対する罰則については、「精神操作」を過大解釈される可能性があるため、多くの宗教団体が特別な関心を示している。

種々の宗教代表者、法務大臣並びに様々な人権団体からの意見聴取をもとに、フランス政府は、反カルト法律の草稿案の訂正を行った。ワシントンDCの宗教団体並びに海外政策研究所所長のジョセフ・グリボスキは、このフランス法案に関し、西ヨーロッパ中に広がる‘暴力的な反宗教’を総合的に扱い、中央並びに東ヨーロッパに現れている民主主義に影響を与えるであろうと思われるため、懸念を示している。中欧並びに東欧の近年起こっている民主主義はフランスのように法的に保護されているわけではなく、こうした広義に解釈できる法律は、人権を冒涜する方向に導く可能性がある、とグリボスキは付け加えている。アバウト・ピカードの法案は、3月終わりにフランス上院議員で再審議されることになったが、審議延期となった。

 

補足説明:IARFワールド」に前回の「世界の問題」が掲載された後、フランスで2001年5月末にこの法案が通過した。この法律は、正しい宗教団体とはどのような団体であるか明確にしておらず、政府が宗教的自由を妨害するために解釈することができるとして、広く批判されている。また、フランスの法律をモデルとする可能性について香港の法学者が検討している。