過去1世紀を振返ると、血でまみれた戦争や宗教的原理主義の再起や非寛容性の時代であった。シカゴ世界宗教国会は、つかぬ間の
夢であったのかもしれない。シカゴのラバイであるエミル・ハイルッチ博士にこう尋ねた。 ‘夢は、薄い空気の中に消えてしまうものでしょうか?’彼は、’いいえ’と答えた。彼は、この万国宗教会議と東洋の花とを比べた。一番きれいな時期がすぎ、枯れてしまっても、強力な香りを放ち続けている。終わってしまったけれど、’光と激励と感謝’の香りを遠いところへ、べつの場所へと送り続けている。確かに、万国宗教会議自体は、終わってしまうけれど、その理想は、宗教と平和への協力との間に理解を探し求めている人々に活気を与え続ける、と。‘世界大会会長であるチャールズ・ボニー氏は、閉会の言葉を述べた。彼は、この万国宗教会議は、全ての人々に影響を与え、会議の外にある信条は変わらないかもしれないが、新しい光と平和の精神が、全体に普及されていくだろうと断言した。’今後、世界の宗教は、お互いの宗教が、攻撃の的ではない、人類に影響を及ぼす巨大な悪魔を対象にした戦いをし続けるであろう。’
‘ペーパーとして出された理論による影響のみならず、万国宗教会議における心理面の影響も述べられる必要がある。そのキーとなる問題は、お互いの宗教間の関係、主にはキリスト教とその他の宗教との関係中心であったことである。学術的理論と心理的・感情的なインパクトの結果は必ずしも一致しない。キリスト教徒以外の参加者は、招待されたゲストであり、万国宗教会議が「キリスト教徒の会議」という判断をされたことはもっともではあるが、「キリスト教徒の会議」以上の象徴としての意味を持っていたといえるであろう。
マーカス・ブレイブルック