私自身、3つのタイプの諸宗教対話に携わってきた。一つは学術的なものである。これには、アメリカをベース数年にわたって継続された国際仏教・キリスト教対話や、主にアメリカで開催されたユダヤ教-キリスト教-イスラム教対話でした。エルサレムでも一度開催された。こうした対話は、他宗教の宗教体系を理解し、討議することを目的としており、他より自らが優れていることを互いに説得しあうものではなく、他から実際の現実的な学びあいをするものであったそして、仏教-キリスト教 対話においては、私達キリスト教徒が考え方や概念を実際に変えていることが多いように思う(仏教徒が変わるよりも)。これが、理論的・学術的な対話タイプである。

 

また、カリフォルニアでは、宗教指導者でも、 ラバイでも牧師でもない、全く普通の人々と草の根レベルの、1つ目のタイプとは全く異なるタイプの対話に携わってきたが、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の一般の人々は、 お互いの自宅で対話の会合を持っていた。そうすることで、家族生活、どうやって子供達の問題に対処しているか、何を食べ、何を食べないのかといったあらゆる 日常生活における興味深い発見をすることができた。そしてこれは、非常に諸宗教間の友好関係や、真の友情を創造することにつながった。

3番目の対話のタイプは、ハンドワ−ス(イギリス・バーミンガム)のように異なる宗教をもつ人々が特定の地域における具体的な問題共に取り組むための対話である。

少なくともこれらの3つのタイプの対話は、価値がある事だと私は考える。異なる宗教の人々が共にあるために最も簡単かつ建設的な方法は、おそらく、環境問題、平和問題、貧困問題等、世界の抱える具体的問題に取り組むことではないかと考える。なぜなら、こうした問題は、全人類共通の取り組むべき課題であり、異なった価値観から様々なアイディアを出し合うことは、今の時代に非常に価値あることだと考えるからである私は、上記以外のタイプの対話をやらなくてもいいといっているのではなく、種々のタイプの対話が継続されていくことが望ましいと考えているが、しかし、多くの宗教者が人類の抱える問題に特化して取り組むなら、本当に莫大な価値あるものになるであろう」

Full video interview available from IIC.

- ジョン・ヒック